ビースト・ストーカー/証人 [映画]
私が大好きな俳優の一人、『新少林寺/SHAOLIN』『孫文の義士団』のニコラス・ツェー。
前回公開された『密告・者』を観損ねてしまったので今回は必ず観たいと思っていました。
終了ぎりぎりで間に合って鑑賞出来ました。
『密告・者』のダンテ・ラム監督とニコラス・ツェー、ニック・チョンが手を組んだ香港ノワール・サスペンス。
今回は前回と善悪が変わっているとのこと。
(といっても実際は本作が2008年制作で『密告・者』は2010年制作で日本での公開が逆なんですけどね。)
韓国ノワール・サスペンスの『チェイサー』と『哀しき獣』も同じ監督で善悪を交換した映画でした。
期待大です。
刑事のトン(ニコラス・ツェー)は強盗事件の容疑者を追跡中、衝突事故に遭遇。
自分も傷を追いながら逃げようとする容疑者達が近くに停車していた車を奪い逃走を図るのを見て銃弾を発砲。
しかし犯人たちが逃走用に奪った車には幼い少女が乗っていてトンの銃弾のせいで犯人達だけではなく少女をも死亡させてしまうのだった。
少女を死なせたことで心も体も傷ついたトンの目の前で今度は自分が殺した少女の妹が誘拐される。
実は少女達の母はトンが追っていた強盗事件の容疑者で裏組織のボスの裁判を担当検事だった。
娘の命が惜しくば裁判の証拠品を渡せと脅される検事、アン(チャン・ジンチュー)。
そしてアンの娘を誘拐した犯人のホン(ニック・チョン)には体が不自由で寝たきりの妻がいて、彼女の為に高額な薬代が必要であった。
ホン自身も眼に障害があり、色彩を失ってしまっている。
もうすぐ失明の恐れさえあるのだ。
トンとホンとアン。この三人の間には刑事と犯人、事件の検事であり誘拐された少女の母という関係を超える偶然の結びつきがあったとわかるのはラスト。
何故ホンの妻は寝たきりになってしまているのか・・・。
刑事のトンは少女の姉を殺してしまった自責の念があり、妹の命を何が何でも救いたい。
そこでかつての同僚に協力を求めるがトンの従兄弟という男はトンのせいで出世を逃した恨みをここぞとばかりにぶつけ始める。
すると何も言わず黙ったままのトンの鼻からすーっと流れ出る鼻血。
うわ、と驚く従兄弟はそれから素直にトンに協力し始めるくだりが印象的。
誘拐事件の犯人のホンは裏組織のボスとは面識もない金の為だけに働く下っ端だが、元ボクシング選手という設定でまるでターミネーターのように強い、強すぎる。
ホンを追っているうちに見つけたホンの妻をトンの同僚が救急車で病院に送迎していると突然やってきてその救急車まで奪ってしまうし(どうやって見つけたんだろね?)、目も足も悪い割にはめちゃ足速いし、長刀で切りつけるから怖いです。
ラストのオチは出来過ぎてる感もありました。
練られ過ぎてるストーリーがちょっと不自然。
でもそこはまあ、執拗に犯人を追い少女を助けるニコラス・ツェーの必死の顔を観てたら許せますけどね。
誘拐される少女が可愛い。
韓国映画の『アジョシ』でもウォンビンが裏組織から少女を守ってました。
香港映画と韓国映画、どちらもすごいアクションと緊張感が続くストーリーに感心させられます。
★★★★
わが母の記 [映画]
GWに観てきました。
実は私はあまり映画館で邦画は観ないんですが予告を観て劇場で観たくなった作品です。
この映画は文豪・井上靖氏が実母・八重について書いた晩年の短編三部作、『花の下』、『月光』、『雪の面』を元に映画化したものです。
私も義母が2月に亡くなったので母親を語る映画が観たかったのだと思います。
ちょっとネタバレで感想書きます。
昭和39年から主人公の母が認知症を発症し亡くなるまでの10年間のお話。
小説家・伊上洪作(役所広司)は東京に住んでいるが、実家の伊豆に住む父が病死したころから実母八重(樹木希林)の様子がおかしくなり始める。
幼少期に実母と離れて暮らした為に“自分は母に捨てられた”という想いを今も引きずる洪作。
それまでは母との関係に距離を置いていた洪作であったが、恨みがいくら深くても息子の顔さえ忘れてしまった母にもはや恨みごとも言えはしない。
しかし今まで聞けなかった「何故自分を捨てて曽祖父の妾で自分とは血の繋がらないおぬいばあさんに預けたのか」を素直に母に尋ねることが出来るようになるのである。
樹木希林対役所耕司の演技が迫ってくる映画でした。
老女役を若いころから演じてきた希林さんは今や演じる役と実年齢が合致して、見事の一言。
目の前にいる息子、洪作に語る少し頓珍漢な話や悪態に劇場からは何回も笑い声が湧きあがりました。
洪作は売れっ子小説家であり東京の家には妻子の他、仕事関係の編集者や運転手などの使用人が常にいて騒がしい。
小説のネタに私生活を書かれてしまう事で末娘の琴子(宮崎あおい)などは父親に反発している。
八重の誕生日にはホテルで大家族のお食事会と楽団の演奏。
そんな伊上家の暮らしを描きながら八重と洪作という母子の関係だけではなく洪作と琴子という父と娘の親子関係も同時に丁寧に語られていきます。
八重の暮らしは伊豆に住んでいたり息子の住む東京にきたり、軽井沢の別荘に行ったり。
面倒を見てくれるのも孫の琴子であったり洪作の姉妹であったりで、今のようなせかせかした時間の流れで一人で親の認知症と向かい合っているのではなく、大家族の中で世話が出来る人が八重を世話していています。
使用人もいるので観る前に想像していたような悲痛な展開ではありませんでした。
経済的な心配も無く、家族にこんなに大切にされる老後は羨ましいとさえ思ったりもしました。
何かを絶えず捜し回っている本人にはわからないようでしたが。
それにしても子供の頃の記憶とは実際のところどれだけ正確なんでしょう。
母が子供を捨てるなんてよほどのことがないと思うのですが洪作の記憶ではそうなってしまって他の考えは受け付けない。
なので後半で明かされる母が胸に秘めていた想いが自分が老年期になるまでわからない。
妻も母から聞いていた幼少期の事実はご主人には明かしていないしね。
小説家というものは少し不幸を背負ってるくらいがいいものが書けるのかもしれません。
やっと母の想いを知ることができた時、母は自分を息子とはわからなくなってしまっている。
でも幼いころに書いた本人が思い出せないでいる詩を認知症が進んだ母がすらすらと口にするシーンは泣けますね。
母の息子への愛がにじみ出て、息子の心にあった恨みが消え去る瞬間でした。
★★★★
監督、脚本は「クライマーズ・ハイ」の原田眞人。
井上靖氏には息子さんがいますが、監督はあえて洪作の子供たちを女の子だけにしたらしいです。
第35回モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門、審査員特別グランプリ受賞作品。
アーティスト [映画]
本年度アカデミー賞の作品賞、主演男優賞、監督賞、衣装デザイン賞、作曲賞を受賞した
『アーティスト』を観てきました。
サイレント映画を映画館で観るのは初めてでした。
サイレントといっても音楽は常に流れているのね、なんて改めて思ったり。
あ、作曲賞を受賞してますもんね。
台詞は時々文字画面が出るんですが全ての台詞をカバーするわけではないので、多くは口元や表情を観ながらどんな台詞を言ってるのかなと想像しなければなりません。
レイトで観たんですがお客は少なめ。
咳をする人やバッグを座席から落とす音などもかなり響きます。
なので自分も迷惑かけちゃ駄目だと足を動かすのも我慢、プレッシャーと戦いました。
周りの皆さんも同じ気持ちのようでとっても静か。
まるで音楽会に来てるような静けさでした。^.^;
お話は1927年の米国・ハリウッド。
当時の映画はサイレント映画。
サイレント映画の大スター、ジョージ・ヴァレンティン(ジャン・デュジャルダン)は新作の舞台あいさつで大喝さいを浴びていた。
その日、ジョージは新人女優ペピー(ベレニス・ベジョ)と出会う。
その後ぺピーはオーディションでジョージの映画の端役をもらう。
ジョージの楽屋を訪れたぺピーにジョージは口元に付けぼくろを描くアドバイスをする。
「女優を目指すなら目立つ特徴がないと。」
やがてぺピーには踊り子から名のある役に、そしてやがてヒロインへと躍進していくのだった。
やがて映画はサイレントからトーキー映画の時代に。
トーキー映画でぺピーは大スターになっていくが、
自分はアーティストだとサイレント映画にこだわるジョージの人気はどんどん落ち始め、
彼自身が監督・主演する映画も失敗してしまう。
妻には家を追い出され、邸宅も家財も売りに出し、自身の思い出の品を手放すジョージ。
彼に残った物は愛犬アギ―と自分の映画フィルムだけだったがそのフィルムに火を放つジョージは・・・。
映画がサイレントからトーキーに移行する時期の映画業界の混乱を、コメディタッチで描いたミュージカルに「雨に唄えば」がありますね。
「雨に唄えば」のタップダンスは凄かったですが、この「アーティスト」でもタップがいい味出していますし、ジョージが復活するきっかけにもなりそうです。
主役のジャン・デュジャルダンの風貌かまさにハリウッドスター。
にんやり笑うとクラーク・ゲーブルみたいな雰囲気を醸しますが彼はフランスの俳優さん。
ぺピー役のベレニス・ベジョはアルゼンチン出身でミシェル・アザナヴィシウス監督の奥さん。
ぺピーがオーディションで話しかける老人は「時計じかけのオレンジ」のマルコム・マクダウェル。
ジョージの運転手にハリウッドの名優ジョージ・クロムウェル。
犬のアギ―は犬のアカデミー賞とも言える『第1回ゴールデン・カラー賞(金の首輪賞)』を受賞。
最優秀“俳優犬”賞を受賞しています。
可愛いし賢いワンちゃんでした。
台詞がない為にシンプルさを心がけたというラブストリー。
この映画がフランス映画にして外国語映画賞ではなかったのは外国語(英語以外の言語)の映画ではない、サイレント映画だったから。
フランス映画では初めてのアカデミー賞作品賞でした。
監督はミシェル・アザナヴィシウス。 ★★★★
桜の京都で懐石料理。 [日常]
先週の月曜日、友達と4人で京都の嵐山駅(阪急)の一つ手前の松尾駅下車、天ぷら松に行ってきました。
松尾駅からは桂川にかかる橋を渡ったらすぐ。歩いて5~6分でしょうか。
実はこのお店は美容師さんに教えてもらったんですが、食通のお客様数人がお勧めするお店なんだとか。期待大です。
桜の季節なので混んでない平日を選んで予約したつもりでしたが、お店は満席。
予約時間に行っても席が空いてないのでしばらく待って奥のテーブルに通されました。
お料理が運ばれる前に前回と同じ料理にならないようにと、前に利用した日を聞かれましたが私たちは初めてだったのでお任せにしました。
天ぷら松という店名ですが、元々は天ぷらの専門だったお店のようですが今は懐石料理が中心のお店です。
本日のお料理はこんな感じです。
朝どりたけのこ。器は100年ものなんだとか。
玉露のシャーベット。
このほか、さつまいもやしらすの天ぷら四品が出ました。
同じお皿で出て来たのでみんなの食べっぷりが早くて写真が撮れませんでした。
5000円+外税のお昼のコースでしたが、3500円と8000円のコースもあるようです。
量が違うんですか?と予約の時に聞いたら内容が違いますとのお答えでした。
少しづつ美味しいお料理が運ばれてきて幸せです。
ただ非常に忙しそうで料理の説明が少なめでした。
季節に合わせた料理が食べられるのでリピーターも多いみたい。
嵐山方面に行かれる時はこちらでのランチはいかかでしょう。
予約は必ずしたほうがいいと思います。
『天ぷら松』
京都府京都市右京区梅津大縄場町21-26
075-881-9190
タイタニック 3D [映画]
『タイタニック 3D』をIMAXで観てきました。
1912年4月10日に英国サウザンプトン港から米国に向けて処女航海に出発し、4月14日に北大西洋で氷山にぶつかり15日に沈没した豪華客船タイタニック号の実際の沈没事故を基にジェームス・キャメロン監督が脚本、監督を手掛けた1997年の米国映画。
今日がその100周年ということでそれに合わせて3Dリマスター版を制作して公開したものです。
1998年のアカデミー賞では11部門で受賞、セリーヌ・ディオンの歌う主題歌も大ヒット。
同監督の『アバター』に抜かれるまで映画史上最高の世界興行収入を記録してギネスに登録された作品。
私も当時映画館でみました。
その日は先に『ディープ・インパクト』という映画を観たんです。
よくよく2本立てで映画を観る友人と一緒だったので、その日ももう1本。
3時間は長いとは思ったものの観始めると先に観た『ディープ…』の印象が吹っ飛んでしまったことを憶えていまっす。
その後TVで何度もみたので展開も台詞も結末もわかってはいるけどやっぱり大画面で観れるのは嬉しいです。
しかも今回はIMAXでしたので音響が凄い。
水飛沫が飛んできそうな映像もいいし、やっぱり観て良かったなと。
なんといってもディカプリオは若くて細くて(笑)彼はやっぱりレオ様でした。
(『J.エドガー』で若くなったディカプリオが出たけどあれはレオ様じゃありませんでした。^.^;)
お話も伏線が効いてて。
ジャックがローズに教えた唾飛ばしが後半に追っ手から逃げる武器?になったり、
ジャックがいい残した事を生きて叶えていくその後のストーリーまで101歳のローズの持ち歩く写真で想像させたり。
改めて観てもすごいですね。
ローズはタイタニックの真実の話を終えた後「碧洋のハート」と呼ばれる宝石をタイタニックが沈む海にこっそり落とす。
その夜、彼女の魂は眠りの中で美しかった当時のままのタイタニック号に戻り、乗客達の拍手のなかでジャックと再び再会する。
あのラストシーンは何回見ても涙がこぼれます。
大きい画面で観た事が無い方、是非観て下さいね。
映画で使われたジャックの描くスケッチはキャメロン監督が全て描いたもので、右利きのジャックに合わせて左利きのキャメロン監督の描く映像を反転させて右で描いてるようにみせてるそうです。
ヘルプ ~心がつなぐストーリー~ [映画]
1960年代、米南部、ミシシッピ州のお話。
ニューヨークタイムズ紙の書籍ランキング103週連続ランクインしたベストセラー小説を原作に
ミシシッピ州出身の監督が映像化しています。
上演時間は146分と長いです。
20時40分から始まるレイトショーで観たんですが終わった時間は23時をとっくに過ぎていたので
驚きました。
ひとりの白人女性によって綴られた“ヘルプ”と呼ばれる黒人メイドたちの“心の声”のお話です。
主人公のスキーター(エマ・ストーン)は南部の上流家庭に育った白人女性。
彼女が4年の大学生活から故郷に戻ってくると、自分を育ててくれたメイド(=ヘルプ)のコンスタンティンが母にクビにされていなくなっていた。理由を聞いても母は詳しく語らない。
母よりも身近な存在だったコンスタンティンがいなくなったことにショックを感じるスキーター。
一方、同じく上流家庭に育ったスキーターの友人でこのあたりの社交界のボス、ヒリー(ブライス・ダラス・ハワード)は白人家庭には黒人専用トイレの設置を義務付けようと言いだす。
そしてヒリーの家のメイドのミニーは白人トイレを使用したために解雇される。
自身も黒人メイドに育てられているのに大きくなったらメイドを追いだす母や友人たちの姿を見た作家志望のスキーターは故郷の現状がもはや当たり前には思えず、メイド達にインタビューを試みるがメイド達に真実は語れない。
誰もが口をつぐむ中、ミニーの親友のエイビリーン(ヴィオラ・デイヴィス)が勇気を出してインタビューに応じ始める・・・。
女性群像ストーリーです。女性の登場人物が多いですがそれぞれを上手く描いていました。
男性はほとんど出てきません。
スキーターには彼が出来ますが、彼は現状を変えるなんて考えもしないただの金持ち男という感じで、最終的には別れちゃいます。
演じるエマ・ストーンは今年の6月に公開予定の超大作『アメイジング・スパイダーマン』で主人公ピーターの運命の恋人グウェン・ステイシー役に抜擢されている注目の女優さん。
クルクルの髪が可愛いと思って観てたけど、本人やママには違うみたいで髪をストレートに延ばすマシーンが出てきて笑いました。
ヴィオラ・デイヴィス演じるエイビリーンには若くして亡くした(彼女が真実を語るきっかけを与えた)息子がいますがエイビリーンの語りだけです。
クビにされた後、憎き雇い主に復讐を遂げるミニー(オクタビア・スペンサー)にも暴力夫がいるようですが、ヒリーの怪我を見せるだけで夫の映像は登場しません。
今作でヴィオラ・デイヴィスはオスカーに主演女優賞ノミネート、オクタビア・スペンサーは見事に最優秀助演女優賞に輝きました。
意地悪なヒリー役のブライス・ダラス・ハワードはロン・ハワード監督の娘さんなんですね。
沢山の映画に出ているみたいですが今回の映画で知名度はかなり上がると思います。
チョコレートケーキを美味しそうに頬張る姿やベッドで自分の話を描かれた本を見ての絶叫シーンはなかなか印象的ですから。
メイドにも自分の母にも意地悪な、本当に嫌な女を好演しています。
ヒリーに嫌われるのはメイド達だけじゃなくて白人のシーリアもそう。
彼女は同じ白人でも下層家庭出身でヒリーの元彼と結婚した為に、大邸宅で暮らしているけどボスのヒリーの一声でみんなに無視されて生活しています。
性格は良くて可愛いけどちょっと空気読めない系、金髪で胸を強調する派手なドレスを着ていてマリリン・モンローっぽい。
『ツリー・オブ・ライフ』でブラピの妻を演じてたジェシカ・チャスティンが演じてますが、あの時の地味な母の印象とは全く違う可愛い役に、うまいなあって思いました。
あと、横暴な娘ヒリーに密かに反撃を試みる母役に名優シシー・スペイセク、スキーターの母にはアリソン・ジャレイと脇役も超豪華。
50年前とはいえ人種差別や階級制度が強い南部という土地柄。
テレビからはKKK団のニュースも流れます。
今はどれだけ変わっているのかはわかりませんが、一緒にメイドと白人女性がフライドチキンを頬張るなんてとんでもないことになった時代をコミカルな演出や演技で、小さな勇気が世の中を変えていくというストーリーが元気を与えてくれるお話でした。
女優さんたちの力演がうまく生かされた映画です。
ラストのエイビリーンの後ろ姿には強さと共に寂しさも感じました。
★★★★
監督、脚本は原作者キャスリン・ストケットとともにミシシッピ州ジャクソンに生まれ育った友人同士のテイト・テイラー。
超能力者 [映画]
2010年、韓国で一番美しいキャスティングと呼ばれたカン・ドンウォンとコ・スのW主演で話題を集めた『超能力者』を観てきました。
韓国は徴兵制があるため、カン・ドンウォンもこの撮影のあと兵役の為に入所しています。
ギュナム(コ・ス)は廃車工場で働く青年。
友人たちと遊びに行った帰りに交通事故に遭い入院。
傷は回復したが職場からは解雇されてしまう。
再就職で働くことになった質店で、社長が「最近変なことが続いている」とこぼす。
帳簿が合わない日があるのだが、社長には全くその記憶がないというのだ。
そんなある日、質屋に奇妙な若い男が入ってくる。
その男、チョイン(カン・ドンウォン)が見つめると職場の社長や友人達が操られるように動き始めた。
彼が不思議な能力で金を盗んでいると直感したギュナムはチョインを追うが、チョインは自分の能力が効かない者に初めて出会って驚き、社長を殺して逃げ去るのだが・・・。
超能力とは目で他人を自在に操る能力でした。
カン・ドンウォンが初めて悪役を演じるとのこと。
クルクルパーマも役作りかと思われます。背が高くて細くて素敵です。
ただ、チョインは子供の頃から義足なんですが何故そうなったのかとか、何故能力があるのかとかは全く語られません。
それと目で操るってことですがチョインを見てない人まで操られるのは不思議。
例えば駅の構内で、そこにいる人が全員直立不動になるのは違和感が。
なにかの舞台やミュージカルを見ているようです。
それに俳優たちが息を殺して止まっている演技をしているのがわかるので、視覚効果が素晴らしい映画を沢山見ているこの時代、この演技はあまりにお粗末に見えてしまいました。
ギュナムにだけ何故能力が通用しないのかも謎のまま。
ギュナム自身はまったく意識していないけど異常に傷の治りが速いところをみると彼も能力者って扱いなのかもしれませんが・・・それもよくわかんないです。
交通事故にあっても傷を負っても直ぐに治り過ぎはあんまりです。(←いや、私はコ・ス氏は大好きなんですよ)
ギュナムには廃車工場で働く外国人の友人が二人います。
この二人はギュナムを兄貴と呼んでかなり韓国語も巧な様子、二人が出るだけでお話がとってもコミカルな方向に走っていきます。
デコボコ3人トリオでお笑いネタをからませながらチョインを追っていくんですが、監督はせっかくのイケメン俳優、コ・スをもったいない使い方をしてますね。
「お前は俺と出会うべきではなかった・・・」というチョインのかっこいい台詞も、確かに執拗に追いかけてくるギュナムさえいなければお金をこっそり盗んでは静かにひっそり過ごしていた彼を怒らせることも被害者を増やすこともなかっただろうにと思わずにはいられません。
そんな訳であの驚きのラストといい、なんだか入り込めないまま映画終了。
悲惨な過去を持つ超能力者が初めて自分の能力と存在を認める男と出会う。
そんな映画だからこそ監督さんの狙いは解りませんが、もっとシリアスな映画に統一した方が良かったんじゃないかと・・・。
ちょっと、いや、かなり残念でした。
★★★☆
監督;キム・ミンソク
長ぐつをはいたネコ [映画]
『シュレック』シリーズでわき役だった「長ぐつをはいたネコ」が今回は主人公に。
アカデミー賞長編アニメ部門にもノミネートされていました。
予告で「ネコ」のミルクを飲む姿があまりに可愛いので2Dで観てきました。
『シュレック』ではおとぎ話の主人公たちが沢山出てくるんですが、元々の「長ぐつをはいたネコ」の寓話・・・頭の良い猫がご主人さまに長靴をもらって彼を助け、やがてお姫様と結婚させる・・・というものとは全く違います。
声を担当のアントニオ・バンデラス風のラテン系のお話でした。
長靴を履いたお尋ね者の猫、プス。
彼は幼いころ拾われて育った家で卵のハンプティ・ダンプティと親友となるのですがこいつが性格の悪い腐れ卵野郎。
ハンプティのせいで悪事の濡れ衣を着せられたプスは故郷を追われ、さすらいの身になってしまう。
そんなプスが十数年来でハンプティに再会し、嫌々ながらジャックと豆の木の豆を探し出し、雲の上に。
金の卵を産むと言うガチョウのヒナ(ヒナは金の糞を出す)を見つけてハンプティとも和解し、故郷にも帰り、ヒナのお陰でお金持ちになるところだったが、再びハンプティに裏切られるプス。
さて、プスの運命は・・・。
『シュレック』では語られなかった猫の生い立ちが語られます。プスって名前もちゃんとあったのね。
美猫キティとのダンス対決など目にもとまらぬしなやかな動きやアクション、2Dで観ても奥行きやふわふわなプスの毛並みもしっかり感じる事が出来る美しい映像。
ただ悪役ハンプティ・ダンプティが可愛くないのよね・・・。
猫好きとしてはたまらなく可愛いプスのしぐさにかなり参りましたが、予告が良く出来ていたせいか期待していたほどのストーリー展開ではなかったです。
でもプスのキャラクターグッズがあったら買いたかったですね(笑)。
★★★☆
監督;クリス・ミラー
日本語版の声は竹中直人さん(ネコ)、勝俣州和(卵)さんでした。
マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 [映画]
メリル・ストリープが今年度のアカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞して話題となった作品です。
アカデミー賞ノミネートの常連であるメリルは今回「鉄の女」として有名なイギリス初の女性首相、
マーガレット・サッチャーを演じています。
お話は現在と過去を行ったり来たりします。
サッチャー女史にはご主人のデニス(ジム・ブロードベント)がいつも傍らにいるのですが、
実はご主人は既に亡くなっていて、現在の彼女は認知症によりその事を理解していない様子。
まるで生きているように会話し、愚痴をこぼし、意見を聞いて二人の過去を回想していきます。
ご主人と出会い、結婚し、政治家を目指していく若き日の頃は別の女優さんが演じています。
その時の記憶は二人で踊ったダンスの想い出、幼かった子供たち。
政治家として、首相として、そして認知症となった老年期と
お話は不意に移り変わっていくので解りにくいときもありますし、
イギリスの現代史、特にフォークランド紛争前後を理解していればもっと面白かったかもしれません。
黒い背広の集団の中にだだ一人水色のスーツでハイヒールのサッチャー女史。
このシーンの存在だけでも彼女の強さがうかがえます。
在任中は一国の首相として強くあり続け苦渋の判断を選び続けた彼女を陰で支えていたご主人。
そんな彼が死んでもなお、傍にいてくれるなんてなんと羨ましいと思ってしまうストーリー。
ここは創作の部分なんでしょうが、メリルの演技はこの老年期を演じることで
彼女しかこの役は演じられないだろうと思わせるほどです。
サッチャーさんが認知症であったなんて知りませんでした。
ストーリーはそれほど心躍ることもないんですがメリルの演技を観るための映画ですね。
そしてあの頃の歴史の裏舞台を垣間見せてもらえました。
監督は『マンマ・ミーア!』のフィリダ・ロイド。
アカデミー賞メイクアップ部門も最優秀賞を受賞しています。
★★★☆
クレアモントホテル [映画]
映画館で観れなかったんですがwowowで鑑賞。ご臨終禁止のホテルのお話。
ロンドンの長期滞在型ホテル『クレアモントホテル』。
このホテルに夫に先立たれ、一人でホテル暮らしを始めるためにやってきたパルフリー夫人(ジョーン・プロウライト)が訪れます。
イギリスでは老後をホテルで過ごす習慣があるんでしょうか、ここのお客さんは皆さんご高齢の方ばかりです。パルフリー夫人もスコットランドで雑誌の広告を見てここを選んだ様子。
ホテルのボス?のアーバスノット夫人からは「ここではご臨終禁止よ」なんて言われて驚くパルフリー夫人。彼女はちょっと毒舌です。
そしていきなりあれこれ聞いてくる詮索好きのバートン夫人、親子で滞在する芸能一家などなど、お客は一癖ありそうな人たちばかり。
その上料理が自慢と書かれていたはずの味は最低、従業員の態度も悪い、部屋の窓からの眺めは隣のビルの壁。
「とんだ所に来てしまったわ」と後悔しながら、数週間が過ぎて行きます。
みんなにも馴染めず過ごすある日、図書館に寄った帰り道でパルフリー夫人は転んで膝に怪我をしてしまいます。
そこに素早く駆け寄った青年が夫人を助けます。
彼の名前は小説家志望のルード(ルパート・フレンド)。
助けられたお礼に夕食をご馳走する約束をします。
ホテルに帰り、「土曜日に若いお客が来るわ」と話すと、
アーバスノット夫人は「貴方の謎の孫がやっとやってくるのね」と大騒ぎ。
他の滞在客たちにもすっかり誤解されてしまい、
仕方なくルードに孫のデズモンドのふりをお願いすることになるのですが・・・・。
本物の孫デズモンドは同じロンドンにいて何度も電話するのに連絡をよこしません。
デズモンドが先にこのホテルを訪れていたら夫人とルードの関係も変わったんですが、
誤解されたことがきっかけで孫と祖母を演じることとなった二人。
ルードを見て驚くホテルの面々の表情がとても可笑しいです。
彼があまりにハンサムなので普段は愛想のないウエイトレスまでかしこまって挨拶してくるし、
バートン夫人は姪の相手にとルードの詮索を始める。
無口だった老紳士からはデートに誘われプロポーズまでされてしまいます。
あまりの反応の可笑しさに二人はこの関係がすっかり気に入って
時々公園で会っては、ルードは小説のネタを、夫人は人生に開いた穴を埋めていきます。
パルフリー夫人がルードの真面目で優しい性格に癒され、この陽だまりのベンチのような心地よい時間がずっと続けばいいと思いましたが、やはり後半は少し切なく、哀しく。
老いてからの時間をどう生きるのか。
愛する者が先だってからの人生はどうなってしまうのか。
家族に手紙を出すのでさえ、その文章が与える印象に戸惑い躊躇わねばならないのだろうか。
この映画を見ていると老いた時の自分は?と自分を重ねあわせてしまいます。
ルードの登場でホテルのみんなとも距離が近くなり、娘であった自分、妻であった自分、母であった自分ではない「私だけの時間が欲しい」と願ったパルフリー夫人の願いは叶いました。
でも最後はやはり誰かにいて欲しい。
ハンサムな偽装孫を演じるのは『ヴィクトリア女王 世紀の愛』(2009)でアルバート公を演じたルパート・フレンド。
えっ、彼はあのアルバート公だったの?と、驚いたけど、この映画の制作は2005年であの時より4年前。
クレアモントホテルに住む住民同様、この映画を見ると彼に惚れちゃいますよ。
『スパイダーウィックの謎』などの名女優ジョーン・プロウライトの演技に、ラストは涙です。
DVDレンタルで迷ったら是非お勧めしたい一本です。最近の映画では一番泣けてほっこりしました。
そしてその後は『逢いびき』と『ハロルドとモード』かもね。
★★★★☆



























































